今回紹介する本は、佐藤源次郎著　「宝飾技法　－貴金属指輪の作り方ー　」です。古い本なので絶版だと思います。

彫金本の中で作り方の説明をしたものはたくさんありますが、自分にとってはこの本が一番役に立ちました。

この本の優れているところは実際制作するために必要な寸法が記載されていることです。

これは大変ありがたいことで実際の寸法があるでとりあえず迷わず作業を進めていけます。

加工手順もなんとなくそうだろうなと考えていてもやってみるとなかなか難しく上手くいかないことがおおい。しかし実寸が記載されていることでその通りやれば、きっちりかたちになってくれます。

この本と出会ってからは時間さえあれば何度もリングを作ってみて、 完成品を検証し自分なりの作り方をかたちにしていきました。

今ではCADでリングを作ることが多いようですが、どのようにしたら リングが出来ていくのかを知ることで新しい表現方法の種になると思っています。

ジュエリードクター　清水

今日もメンテナンスの仕事を中心に作業を進めております。

サイズ直し、石留め、仕上げ直し、ロー付け等リングによって作業内容が異なり注意が必要です。

お客様からお預かりした大切なリングたちです。心を込めてメンテナンス致します。

ジュエリードクター　清水

本日の難物メンテナンス

エンゲージリング、マリッジリング共に下部をニッパーで切断 し、リングを外す際に広げて変形し破損している状態。

作業内容は 変形直し、サイズ直し＋4.5番、内石穴埋め、内留め、文字入れ、仕上げ直し でこのように復活しました。

これ全て永久保証のメンテナンスです。もちろん無料です。 なかなかいいもんでしょう。

ジュエリードクター　清水

エポキシ樹脂の添加は決められた分量の配合を基本に、色の出具合・面積（容積）や気温・湿度によって調合や加熱時間を変えて作業します。　下地になる地金の種別によっても変える必要が有り結構神経を使います。　　　　写真のように実際にリングに添加したものと同じ成分のものをサンプルとしてプレートにも用意いて同時に加熱します。　 このサンプルの状態を確認して硬化状態や光沢の出方等をチェックしデータとして蓄積していきます。　　この作業が不具合が出た時に是正箇所発見の目安になり、短時間で改善できいつも同じ品質で商品を提供できる支えになっています。　地金は長い経験の中で即座に対処出来るのですが、エポキシ樹脂のように異なる素材を扱う場合は日々の情報収集が大切なのです。

ジュエリードクター　清水

ジュエリー関係の書籍は本当に数が少なく、特に専門的な内容のものはほとんどありません。　そんな中で僕が大切にしている本が山本勇三　編著　「貴金属の実際知識」という本です。　この本は昭和４５年に第１刷発行された大変古い本ですが、素晴らしい内容で今でもわからないことがあればどこかに知りたい内容の記述がないか探したりします。　もちろん古いものなので今とは違う解釈もたくさんありますが、大学等で金属の専門分野を学んだことのない職人としてはまさに地金に関するバイブルです。　これからも先人の知恵をもっと吸収してより良い商品開発へ反映させていきたいと思います。

ジュエリードクター　清水